①紀行作家・大町桂月が愛した古湯
②ブナ板を敷いた底から湧く、足元湧出泉
③周囲に広がるブナ林での自然散策も魅力
文豪・大町桂月の終焉の地に湧く足元湧出の名湯
蔦温泉は、久安3年 (1147) にはすでに湯治小屋があったことが文献に記されているという古湯である。
この温泉の存在が広く知られるようになったのは、明治・大正時代に活躍した著名な紀行作家・大町桂月によるところが大きい。
桂月の蔦温泉に寄せる温泉愛は半端でなく、ついにはここに本籍を移して住み、ここで没した。
広大な敷地内に、正面に大正7年 (1918) 築の木造の本館 (10室)、向かって左側に平成元年築の鉄筋3階建ての西館 (24室) が並び建つ。
風呂は、その名に宿の歴史をとどめる男女交替制「久安の湯」(10:00~12:00・21:30~翌8:00が女性時間 )、男女別「泉響の湯」、貸切風呂 (有料) が1つ。
いずれの浴槽も、ブナ材の板を簀の子状に敷いた木造りの湯船の底から湯が湧く、足元湧出泉というのが素晴らしい。
周囲に広がるブナ林の中には6つの湖沼をめぐる自然探勝路が整備されており、一周約1時間半の自然散策が楽しめるのも魅力だ。
( 写真上:男女交替制・「久安の湯」)
「泉響の湯」(写真は男湯)。この宿では足元湧出泉を“源泉湧き流し”と呼ぶ。
中央に池もある広い敷地の奥に建つ、大正7年 (1918) 築のレトロな面影を残す本館。
落ち着いた雰囲気が漂う本館には和室が10室。西館の24室はバス・トイレ付きだ。
食事は西館のレストランに用意される。夕食は会席料理、朝はバイキングになる。
蔦温泉・蔦温泉旅館
・ふりがな:つたおんせん つたおんせんりょかん
・住所:青森県十和田市奥瀬字蔦野湯1
・電話番号:0176-74-2311
・交通:
電車/東北新幹線新青森駅東口からバス「八甲田・十和田ゴールドライン、みずうみ号」で1時間53分、蔦温泉下車すぐ
車/青森自動車青森中央ICから約1時間30分
・泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉 (泉響の湯)、ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉 (久安の湯)
・源泉温度:45.4度 (泉響の湯)、47.3度 (久安の湯)
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文・写真/飯出敏夫
(公開日:2019年5月5日)
◆カテゴリー:稀少/足元湧出泉|泉質/硫酸塩泉 (傷の湯)