①由緒正しき“信玄公の隠し湯”
②ぬる湯名物「信玄公かくし湯大岩風呂」
③ひたむきに湯治療養する人向けの宿
由緒正しき“信玄公の隠し湯”の足元湧出泉を守る宿
甲信地域には“信玄公の隠し湯”と伝わる温泉が数多くあるが、もっとも信用できる由緒正しき“隠し湯”といわれるのは下部温泉だろう。
武田軍の傷病兵の再生の湯であり、川中島で刀傷を負った武田信玄も湯治したと伝わる名湯だ。
なかでも武田晴信 (のちの信玄) の花押が押された免許状が伝わる古湯坊源泉舘は、江戸時代から250年続く老舗で、当代で58代目を数える老舗である。
名物「信玄公かくし湯大岩風呂」は別館神泉の地下にあり、割れ目から温泉が自然湧出する岩盤それ自体が大きな湯船になっている。
源泉温度30.2℃のぬる湯で、混浴 (女性専用時間あり) だが、この宿ではバスタオル巻きや湯浴み着の着用が入浴の際のマナーである。
すなわち、ひたむきに湯治療養する人のための湯なのだ。
このほか、本館には51度の町有の高温源泉を引く男女別の内湯もある。
主に本館7室は観光客用、1人部屋もある別館17室は長期滞在の湯治客用として利用されている。
( 写真上:混浴・信玄公かくし湯大岩風呂 )
路地の坂道に面して建つ本館の玄関。本館は1958 (昭和33) 年築の木造3階建て。
本館にある男女別の内湯 (男湯)。浴槽は小ぶりの檜風呂だが、適温の源泉かけ流しだ。
いずれも武田軍の勇猛な武将名が付けられた本館の客室。写真は「三枝勘解由」の間。
本館での夕食は山海の幸が並ぶ会席料理。ヤマメの塩焼きや湯葉鍋が美味しい。
下部温泉・古湯坊 源泉舘
・ふりがな:しもべおんせん こゆぼう げんせんかん
・住所:山梨県南巨摩郡身延町下部45
・電話番号:0556-36-0101
・交通:
電車/JR身延線下部温泉駅から徒歩15分 (駅から送迎車で5分、要連絡)
車/中央自動車道甲府南ICから約50分 (中部横断自動車道下部温泉早川町ICから約10分)
・泉質:単純温泉
・源泉温度:30.2度 (信玄公かくし湯大岩風呂)、51.0度 (町有源泉)
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文・写真/飯出敏夫
(公開日:2020年6月30日)
◆カテゴリー:稀少/足元湧出泉|泉質/単純温泉(やさしい湯)